サポート詐欺にご注意ください
サポート詐欺に遭わない為に
一昨年、2022年あたりから全国的に猛威を振るったサポート詐欺。手口はものすごくシンプルながら、まじめかつ権威を無条件に信望する日本人の性格を手玉に取った、悪質な詐欺手法です。
2020年頃に当店に最初の相談が入り、そして2024年の夏がピークとなり、それ以降少し低調化しましたが、それでもまだ被害者は続出しています。
サポート詐欺とは?
一般のポータルサイトやニュースサイト、個人サイトなどに出稿されている広告に仕込まれている詐欺サイトへのリンク。
これをクリックすると、詐欺サイトの画面が表示されます。
そのサイトの画面が以下のような物です。
一見ではまるで「Windowsの保護機能が働いた」かのように見える画面ですが、これは詐欺師が作ったホームページの一種です。
大きな警告音や画面の動きで人を不安にさせて、そこに記してある詐欺師への電話番号に電話をかけさせる手法です。
被害者は驚いて電話をかけると、日本語を話せる外国人が電話応対し、サポートを名目に被害者にいろいろと指示をしてお金を騙し取ります。
どんな方法でお金を騙し取られるか①
詐欺外国人は、「遠隔サポートを行う」という口上で遠隔操作可能なプログラムを被害者のPCにインストールさせます。またWindowsの標準機能でも遠隔サポートが可能なので、その機能を使用可能にさせます。
その結果「遠隔サポートプログラムによって詐欺師は被害者のPCを外から自由に操作できる」ようになります。これは乗っ取られるのと同じで、ネットバンキングで多額のお金を振り込ませる準備をします。
しかしPCを乗っ取られても、詐欺師は銀行パスワードは知りません。被害者を騙して銀行パスワードを入力させて巨額の送金をさせる手法が以下です。
- 詐欺師はサポート手数料が必要と言い、ネットバンクから送金しろと指示します
- 被害者が自分のネットバンク口座にアクセスし、認証作業を終えて最終的に送金をしようとします。
- 詐欺師はその画面を見る事が出来て、被害者のネットバンクの画面を操作可能です。
- しかし送金の前の認証作業そのものは被害者が行わないと送金できません
- 認証作業を終え、被害者が送金ボタンを押す直前に、詐欺師は送金額を操作して末尾に0を幾つも追加します
- 例えば10,000円の末尾にゼロを3つ追加して10,000,000円(1千万円)にして送金ボタンを押してしまいます
- これは現実に2024年に起きた被害です
どんな方法でお金を騙し取られるか②
詐欺外国人は、ネットバンク口座を持たない日本人も餌食にします。
当店に被害相談が入り始めた2020年ごろは、こちらの手法の被害が多く寄せられました。
- サポート料として、コンビニへ行ってAmazonなどのプリペイドカードを5万円分買うように詐欺師に指示されます
- サポート窓口専用の画面へ行くようにアドレスを指定されて、買ってきたプリペイドカードの番号を入力させられます
- 「プリペイドカードの番号が間違っている」と却下され、もう一度買ってくるように言われる。後で返金するので安心しろと言われる
- 被害者がおかしいと気づくまで、何回も番号を却下され、その度にコンビニに買いに行かされる
- 実際は番号は正しくて、プリペイドカードの金額が全額詐欺師の下に送られる
- 被害者が疑問を呈すると、怒り始めたり脅し始めたり暴言を発して電話が切られる
- これは現実に2020年ごろからに現在まで起きていて、30~40万円ぐらいの被害に遭っている方も多くいます
去年後半あたりから、サポート詐欺を防いだコンビニ店員さんが警察署から表彰されるニュースが出始めましたが、まさに上述の手法を店員さんが見かけて防いだという事になります。
なぜ被害が拡大したか?
詐欺師は、Googleなどが展開するネット広告システム(例として「Google広告」)を利用して、ポータルサイトやニュースサイトなどから被害者を集めています。
Googleは検索やスマホだけでなく、多くの収益をGoogle広告に頼って成長してきましたが、詐欺師はその成長の隙間を突き広告審査を通り抜けて詐欺広告を展開しました。
Google広告は元々、一般企業や個人が手軽に広告を出せる仕組みです。広告はGoogle検索結果や、一般のニュースサイトや週刊誌のサイト、個人ブログなどにも表示されます。
詐欺師はその仕組みを悪用しました。Google自体も対策はしていたはずですが、今夏までは詐欺師の方が上手だったようです。
具体的には「次のページへ」というような、いかにもニュースサイトやブログにありがちなボタンの画像を広告として出稿します。そしてそれをクリックすると大音量ともに前述の警告画面を出すのです。
そして「次のページ」だけでなく、過去には世俗の興味を惹く時事ネタや世界の不思議ネタなど、まるでそのサイトの記事と見まがうネタの写真や文言でクリックさせようともしていました。
被害は取り戻せるか?
現在の警察の状況を見る限り、ほぼ不可能と言えます。
詐欺師は国外にいて、インターネット通話で詐欺を働いていると見られるからです。
日本の警察は、かつては国内のサイバー犯罪(主に著作権関係)で筋違いな過剰捜査や過剰拘留などで日本人の技術者を痛めつけてきました(これが日本がITが弱くなった原因のひとつとも言われています)。
しかし言葉やスキルの壁により外国からの越境犯罪では何もしません(権限上、末端のおまわりさんでは何もできません)。
サポート詐欺では被害届を受け付けるだけの事務作業で終わりです。捜査は一切してくれないと思って良いでしょう。
ただし、何らかの幸運で犯人逮捕につながるような事があった場合、多少は取り戻せるかも知れないので、被害届だけは出しておくべきと思います。
被害に遭わない自衛策
- 電話をかけさせる画面が突然出たら詐欺と疑う事
- サポート窓口で外国人が出たら、半分は疑う事
- ただし外国のパソコンメーカーの中には日本語を話せる中国人を雇ってサポートさせているので、外国人だからという事ですべて疑う事は出来ない
- ネットバンクで送金をさせるサポート会社はほとんどない事を知る事
- プリペイドカードを購入させるサポート会社はほとんどない事を知る事
- 信用できない場合は正直に「あなた本当にMicrosoftの人なの?」と聞いて疑う事。少し怒らせるような事を言うと、プロのサポートではありえないような怒り方をして馬脚を現す傾向にある
- 友人や知人、家族にサポート詐欺の事を良く教えておく事
- 不安になったら送金する前に当店などの専門家に相談する事
- AltキーとF4キーを同時に押せば、警告画面は消えます
- 消えなかったら、電源ボタンを十数秒ずっと押し続けて強制シャットダウンしてください
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