今回はメール設定のご依頼です。
普通、メール設定は30分以内、3千円以内が標準的な時間と料金です。
しかし今回はメール、メールサーバー、レンタルサーバー、法務局、ドメイン管理会社といろいろな組織での手続きが必要になったケースです。あまりインターネットの知識が薄いまま、自社HPやメールを運用している時の落とし穴、転ばぬ先の杖としてご紹介させていただきます。
今月9月上旬の事、品の良い老夫婦の方がメール設定をご依頼に来ました。
8月1日からメールが使えなくなって困っているそうで、メールソフトの購入と設定をしてもらいたい、と仰います。

JC▽Mの営業さんにメールが使えなくなった事を相談したそうです。

確かに、一部のメールサービスのトラブルの解決方法として、こういう手段はあるのですが、その問題は一部の原因に限られます。店長の知見では今回のお客様の問題とはちょっと違う気がします。
サブスクリプションであるMicrosoft365も年間を通して使うと結構な出費ですから、安易に高価な手段は使えません。
それに、既にお客様のPCを確認するとOutlook2019が入っていたので、まずはその状況を確認してみます。
Outlook2019を起動させてメール受信しようとすると、パスワードエラーが出ます。

お客様はいろいろとご自分でいじっているうちに、パスワードを変えてしまったそうで、本来の正しいパスワードは忘れてしまっている状態でした。

それならば、レンタルサーバー会社の管理ページにログインしてメールパスワードを再設定しないとなりません。
そのためログインしようとアカウント名やパスワードをお聞きしましたが、管理ページにログインできませんでした。
ログインは二段階認証で、確認メールを受信してメールの本人である事を証明する必要があります。
しかし、先述の通りメールを受信設定するためのパスワードが判らないのです。


この確認メールを送る宛先メールアドレスの変更は、本人確認書類を用意してサーバー会社に提出しなければなりません。
そして契約者が法人の場合、登記簿謄本(全部事項証明書)の提出が必要なのです。
お客様はco.jpの法人契約なので登記簿を取りに法務局へ行っていただく事になりました。

数日後
登記簿謄本をもって老夫婦がご来店。
スマホで写真を撮影してファイル送信してサーバー会社の対応を待ちます。
さらに数日後
本人確認が完了し、2段階認証の確認メールの変更が完了。ログイン出来ました。
そしてメールパスワードの再設定。
Outlook2019にメールパスワードを設定しました。
そしてテストメール送信。
当店のメール宛にメールを送るとすぐに届きました。
そのメールに返信して送ります。
しかし、お客様の元には何分待ってもメールが届きません。
送信できても受信ができないのです。

受診サーバー設定に何らかの問題があるのかも知れません。
メールエラーが戻ってくれば良いのですが、お客様がお疲れのようなので、翌日に持ち越す事にしました。
翌日
前日送ったメールのエラーレポートが届いていました。
name=〇〇kaisha.co.jp type=A: Host not found”
直訳すると「サーバー上に〇〇kaisha.co.jpというドメイン名またはホスト名が見当たりません」となります。
ドメインという物は、多くの方は聞いた事があるとは思いますが、実際何なのか、というと以下のようになります。

エラーレポートの言い分ではドメインが見当たらない、という事なので、ドメインが何らかのトラブル下にある様子です。
ここでドメインの持ち主やサーバー、有効期限などを登録しているWHOISというデータベースで検索します。すると
g. [Organization] Suspended Domain Name
[最終更新] 2024/08/01 02:17:09 (JST)
お客様ドメインは元々、仮登録であったか、正確性確認(所有者確認)を無視したかで一時凍結されてしまったようです。
8月1日からメールが使えなくなったのは、その日に凍結された為でしょう。
復活するにはドメイン業者に5万円の手数料が必要で、さらに当店が申請代行すると手数料が数万円かかってしまいます。
事情をお客様にご説明し、今のドメインを手放して、まだ保有しているドメインでメールを使うのも一つの方法、とアドバイスしました。
お客様も、そのドメインはメールにしか使っておらず、WEBサイトも無いので、別のドメインでメール設定したい、とお考えを改められました。
そこからは10分ほどで、ご夫婦それぞれのPCにメールアドレス設定を行って完了。
結局、Microsoft365などは買う必要はありませんでした。
今回、ドメインが一時凍結される前に、相当数のリマインダーや警告メールがドメイン管理会社から送られていたはずです。
しかしドメイン管理会社は毎日多数の営業メールを送ってくるので、大切なメールが送られてきても気づかずに無視する人が多く、今回もそれが原因で失効してしまっていました。
メールの件名を見れば営業メールかどうかは判別できますので、ドメインを自身で管理されている方は面倒でもメールのチェックは怠らぬようにした方が良いでしょう。
今回の料金:12,000円(4千円×3回)
※今回、時間制にしたため非常に割安に対応できました。しかしドメイン管理やパスワード調査など専門性の高い分野で個別案件で清算すると、非常に高額な料金になってしまいます。
お客様には、他の業者ではこういう清算はしてくれない場合がほとんどなのでご注意ください、とアドバイスいたしました。